「方丈の家」 [日常]

鎌倉幕府(1192年)が成立して20年後。鴨長明(かものちょうめい】が「方丈記」(1212年)を完成させた。この作品は一種の住居論のようで結構おもしろい。
60歳になって建てた家は、方丈(1間半×1間半)の4.5畳の住居で高さ7尺(2.1m)の低い粗末なものだった。以下「方丈の住居」項の抜粋。
六十という、もう老い先もいくばくもない年になって、改めて残り少ない余生を宿すべき住居を作った。言ってみれば、旅人の最後の一夜の宿り、老いた蚕の繭づくりのようなものである。
住居とはいうものの三十歳ごろ住んでいた家に比べれば、その百分の一にも満たない大きさだ。とやかくいいながら年はとる一方で、住居の方は移り住むたびに小さく狭くなっていった次第です。
そのうえ今度の家と言うのが一風変わったもので広さはわずかに方丈、4畳半、高さは7尺ばかりというもの。何処といって建てる場所をあらかじめ決めて、建てたものでないから宅地として整理などもしなかった。いきなり土台を組み、打ち覆いで屋根を乗せて、釘なんぞの代わりに材木の継ぎ目は掛け金で止めた。もし、どうしても住みにくい時は、簡単に他所へ引っ越せるように配慮した。
こうして置けば、いざ引っ越しになったとしても大した苦労はないだろう。車に積んでたったの二台、二両の車賃を払うことの他には、その他の費用は全くいらない。現代の移動式組立てハウスを連想する。設計は持ち論 鴨長明。設計施工の一貫生産のようだ。
 
今も昔も住居に関心のない人はいないのですが、この人 鴨長明は 住居には特に関心のある男だった。「紀貫之の家」「在平業平の家」「周防内侍の家」も記録に残している。
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