「ビリーパック」 [日常]
【画像は 漫画「ビリーパック」単行本全9巻 表紙】
※コート姿も勇ましい
1950年代半ばから60年代半ばまで、少年向け月刊誌は必ずいといっていいほど、私立探偵や事件記者たち活躍する漫画が載っていた。それらのヒーローはいつでもコート姿で登場しいる。しかも夏でも『コート姿』。
巨大ロボットSF漫画の嚆矢(こうし)とされる横山光輝の『鉄人28号』も最初は長編探偵漫だった。コート姿の探偵といえば桑田次郎の『まぼろし探偵』進くんや『月光仮面』祝十郎探偵にもコート姿があるが「夏でもコート」というほどでもない。ちなみにTVドラマ『刑事コロンボ』もコート姿だった。
そこで行き当たったのが『少年画報』1954年10月号から登場した河島光広の『ビリーパック』だ。
太平洋戦争中にアメリカ人の父が憲兵に連行され死刑に、連行を止めようとした日本人母も射殺され、孤児になったビリー少年。戦後アメリカに帰国し、そこで私立探偵を勉強をしたのちに、名探偵ビリーパックとして日本に凱旋。様々な事件を鮮やかに解決する、というもの。ビリーのトレードマークになっていたのがハンティングとトレンチコートだった。
作者は1931年生まれ河島光広。名古屋出身。しかし彼は結核に侵されていて30歳の若さで亡くなっている。将来を嘱望された若き漫画家が生きているとすればどんな傑作を出していたかわかりません。